フリーランス活用中企業、「フリーランス保護新法は自社に与える影響が大きい」と認識
フリーランス保護新法に関する意識・実態調査(前編)
- フリーランス
「日本を、IT先進国に。」をビジョンに掲げるレバテック株式会社( https://levtech.jp/ ) は、企業の経営層、役員・部長クラスの社員570名に対して、フリーランス保護新法に関する意識・実態調査を実施しました。今回は企業編・人材編に分けての発表となり、人材編は9月下旬にお届けいたします。
本文はこちらからもご覧いただけます。
https://levtech.jp/partner/guide/research/detail/290/
Summary
新法の概要を理解する部長クラス以上社員の約74%が「新法が自社に与える影響は大きい」と回答
2024年11月に施行される予定のフリーランス保護新法に関して、フリーランスを活用している企業の経営層、役員・部長クラスの社員の約57%が「内容を熟知している(22.6%)」または「概要は理解している(34.1%)」と回答しました。そのうち「フリーランス保護新法が自社に与える影響は大きいと思う」と回答した方は約74%に上り、「自社の運用や社内の対応について見直すべき内容が多いから(45.7%)」「現在契約しているフリーランス人材の数が多いから(26.4%)」といった理由が見られました。
自社でフリーランスを活用している企業は、新法の施行を契機に、フリーランス人材との契約や運用方法の見直しを進めようとしていることがわかります。
見直すべき項目、1位は「取引条件の明示内容」
フリーランス保護新法の施行を受け、見直すべき運用や社内対応として最も多く挙げられたのは「取引条件の明示内容(24.8%)」でした。見直しにあたって大変だと思う点については「法の内容をしっかりと理解すること(29.6%)」が最多となり、次いで「禁止事項*1に関する取引先との認識のすり合わせ(23.1%)」が続きます。
システム開発業務では、発注元のクライアント企業、SIer、およびSES(システムエンジニアリングサービス)企業など、複数の企業が関与してプロジェクトを進めるケースが多く見られます。こうしたプロジェクトにおいてフリーランスと直接契約を行う事業者は特に、新しい法律に基づいた企業間での認識のすり合わせの実施が重要となるでしょう。必要に応じて、外部顧問やエージェント(仲介事業者)等への相談を行うことも有効だと考えられます。
*1 継続的取引を行うフリーランスとの取引においては、フリーランスに責任(不良品、委託内容と異なる、納入遅れ等)がない場合、あらかじめ取り決めた納期内での成果物受取を行わないこと、減額を行うこと、成果物受取後の返品を行うことは禁じられる
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/001101551.pdf
フリーランス活用中企業の約45%が今後の増員も検討
フリーランスを活用することによる効果や自社へのメリットに関して、「採用が難しいハイスキル・ニッチスキル人材を調達できる(53.3%)」が1位となり、「必要な人材をプロジェクト単位で募集でき、固定費がかからない(50.2%)」「正社員採用よりもスピード感を持って人材確保できる(49.2%)」が続きました。フリーランス人材を「今後も増員することが決まっている」または「増員を検討している」と回答した方は全体の約45%に上ることがわかります。
レバテックの発表*2によると、2024年6月時点での正社員IT人材求人倍率は約10倍であり、即戦力となる中途人材の採用が困難な状況が続いていると言えます。プロジェクトの推進に必要な人材をスピーディーに確保できるという点において、効果を感じている企業も多いのではないでしょうか。
*2 2024年8月発表 「2024年6月のITエンジニア・クリエイター正社員転職/フリーランス市場動向」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000677.000010591.html
まとめ
今回の調査では、フリーランスを活用している企業の約6割が「フリーランス保護新法の内容を熟知している」または「概要は理解している」と回答しました。また、約7割のフリーランス活用中企業が「新法が自社に与える影響は大きい」と認識しているようです。
企業にとっては、フリーランスの活用は必要な人材を迅速に確保できる点やプロジェクト単位での募集ができる点などにおいてメリットがあり、実際に約45%の企業が今後もフリーランスの増員を検討していることがわかりました。運用方法の見直しに困難を感じながらも、フリーランスを活用することによるメリットや実際の効果を踏まえ、積極的に対応を進める企業も少なくありません。
11月に施行されるフリーランス保護新法は、「フリーランス・事業者間の取引の適正化」と「就業環境の整備」を目的としています。新たな法律による運用の見直しは一時的な負担を伴う可能性もありますが、多様な働き方を支える環境を整備することで、将来的に企業のイノベーションを促進することも期待できます。今回の法の施行は、企業とフリーランスの関係がより健全化し、互いに有益なパートナーシップを築く機会となるのではないでしょうか。
<調査概要>
調査対象:企業の経営層、役員・部長クラスの社員570名
調査年月:2024年7月30日~2024年8月2日
調査方法:Webアンケート調査
有効回答数:570名
調査主体:レバテック株式会社
実査委託先:GMOリサーチ&AI株式会社