博士課程進学者が抱える課題は「就職先が見つからなかった」が1位に、 就職支援の強化が課題
博士人材の就活・採用実態調査
- 新卒就活
レバテック株式会社が運営する、ITエンジニア専門新卒向け就職支援エージェント、レバテックルーキー( https://rookie.levtech.jp/ )は、民間企業で働く・働いた経験のある博士人材212名と博士人材の採用を行う企業の採用担当者・責任者192名を対象に、博士就活・採用に関する実態調査しました。

前編はこちらからご覧いただけます。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000735.000010591.html
Summary
民間企業で働く約7割の博士人材が「進学して良かった」と回答、一方で就職活動における課題は残る結果に
博士人材が博士課程に進学しようと思った理由について、1位は「研究が好きだったから(57.1%)」となりました。
「博士課程に進学して良かった」と回答した方*1は約66%で、その理由として「特定の分野について専門性を高めることができた(72.9%)」が最も多く挙げられました。次いで、「分析的思考力が向上した(46.4%)」「困難な課題を克服する忍耐力や精神力が身についた(41.4%)」と続きます。
一方で「あまりそう思わない(23.6%)」または「全くそう思わない(10.4%)」と回答した方に理由を尋ねたところ、「就職先がスムーズに見つからなかった(50.0%)」や「博士課程で得た専門知識を仕事で活かすことができなかった(47.2%)」が上位に挙がりました。
博士課程の進学により、専門分野の知識やポータブルスキルの向上を実感する人が多い一方で、就職活動やキャリア形成に課題を抱えるケースも少なくありません。
*1 博士課程に進学して良かったかという質問に、「非常にそう思う(35.4%)」「どちらかというとそう思う(30.7%)」と回答した方の合計を指す

博士学生採用で企業が重視する点、「論理的思考力」が「研究内容が活かせるか」を上回る
現在、博士課程の学生(以下、博士学生)の新卒採用を行っている企業が、採用時に重視するポイントとして、「論理的思考力(52.7%)」「研究内容が自社で活かせそうか(52.0%)」が上位に挙げられました。研究内容との親和性だけでなく、博士学生が研究を通じて培った素養や能力も重視していることが分かります。
経済産業省は、博士人材の専門性と企業の業務とのマッチングの難しさを踏まえ、博士人材が研究内容に直接的に関連する分野以外での活躍の可能性に目を向ける必要性を指摘しています*2。博士学生は「専門分野」だけでなく、自身の持つポータブルスキルが活かせる企業を検討することで、キャリアパスの幅を広げることに繋がるのではないでしょうか。
*2 経済産業省「博士人材の産業界への入職経路の多様化に関する勉強会議論の取りまとめ」
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/doctoral_talent/pdf/20240229_1.pdf
博士学生からの応募経路は「研究室や教授の紹介」が最多
博士学生を採用している企業の採用担当者に、博士学生からの応募経路で最も多いものを尋ねたところ、「研究室や教授の紹介(25.7%)」が最多でした。経済産業省の調査でも、就職活動を行う際に民間サービスの活用が少ないことが明らかになっており、研究の専攻領域を活かしたマッチングは十分に行われている一方で、それ以外のマッチングが十分に行われていない可能性を指摘しています*3。
博士学生の活躍の場を広げるためには、就活エージェントなどの民間サービスの活用を通して、学生がより多くの企業と気軽に接点を持つことができるようにすることも重要な要素となるでしょう。
*3 経済産業省「博士人材の産業界への入職経路の多様化に関する勉強会議論の取りまとめ」
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/doctoral_talent/pdf/20240229_1.pdf
博士人材の採用をしている担当者のうち、「博士学生に対してジョブ型採用を実施している」と回答した人は6割に留まる
現在、博士人材の採用を実施している企業の採用担当者のうち、「新卒の博士学生採用においてジョブ型採用を実施している」と回答した方は約6割でした。一方で約25%の採用担当者は、新卒・中途のいずれにおいても「実施していない」と回答。博士学生向けのインターンシップの実施については、現在博士学生を採用している企業の採用担当者の約半数が実施していないと回答しています。
経団連は博士人材の能力や成果・業績に応じた適切な処遇が重要であるとし、インターンシップの活用やジョブ型採用の重要性に触れています*4。ミスマッチのない採用を実現するために、より多くの企業がインターンシップやジョブ型採用を積極的に導入することが重要となるでしょう。
*4 日本経済団体連合会 「博士人材と女性理工系人材の育成・活躍に向けた提言」
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/014_honbun.pdf
〈執行役員泉澤のコメント〉
経済産業省の調査によると、日本企業の76.6%が博士人材を採用しておらず、博士人材の活用が進んでいない現状が明らかになっています*5。今回、実施した調査によると、博士課程進学者の約7割は「進学して良かった」と回答した一方で、「就職がスムーズに決まらなかった」という意見も聞かれました。
博士人材の活躍の場を広げるには、企業と博士学生双方が研究内容に縛られないマッチングを模索することが重要です。特に、研究分野に限定されない能力を見極める手段として、インターンシップやジョブ型採用は有効な手段となるのではないでしょうか。また企業側の受け入れ体制の整備とともに、学生の不安を解消するための支援も必要です。レバテックでは、研究分野以外の広義の専門知識やスキルを活かした就職の可能性も伝えることで、博士学生が自身の活躍の幅を広げるきっかけを提供していきます。
*5 文部科学省「博士人材の民間企業における活躍促進に向けた検討会開催について」
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/doctoral_talent_pri/pdf/001_02_00.pdf
<調査概要>
調査年月:2025年1月22日~2025年1月27日
調査方法:インターネット調査
調査主体:レバテック株式会社
実査委託先:GMOリサーチ&AI株式会社
企業側調査
<有効回答数>192s
<調査対象>博士号取得者を採用する企業の採用担当者・責任者
人材側調査
<有効回答数>212s
<調査対象>博士課程修了者のうち、民間企業で働く・働いた経験のある博士人材